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一目均衡表ガイド

リチャード・コックス trader
Updated 26 Nov 2020

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一目平均表はトレーダーに様々なテクニカル指標を与えることができる他、モメンタム、支持線や抵抗線をどんな金融市場で表示することができます。

複数の移動平均線を活用し、このテクニカル指標は現在の市場相場に対して「雲」を構成することで、未来の原資産価値の動きを予測します。これらのツールは強い市場相場の方向性(上昇傾向、又は下落傾向なのか)を確認することができる他、利益を最大にするためのエントリーとエグジットのタイミングを測ることを可能にします。

一目均衡表は1960年代に細田吾一により考案され、従来のローソク足チャートに加えて追加で数値化された情報を与えてくれます。一見一目均衡表(および一目均衡表を構成する売買シグナル線など)は不要な抽象絵画にみえるかもしれません。ですが、トレーダーが一度チャート(またはチャートに表示されるシグナル線)を読む能力を身に着けると、抵抗が少なく活用できるようになります。

まずはこのトレーディングシステムの名称から見ていきましょう。そうすることで、目的と設計思想といった多くの情報がわかってきます。

  • 一目(いちもく)とは「一見」あるいは「一目見て分かる」という意味です。
  • 均衡とは平衡、すなわちバランスのことです。
  • 表はグラフ、またはチャートとなります。

実質的には、一目均衡表は市場の上昇局面と下落局面を理想的にフィルターできる、一体化されたトレーディングシステムとして機能します。

  • 相場が雲の上を抜けるときは、シグナルは上昇傾向(買い)を示します。
  • 相場が雲の下を抜けるときは、シグナルは下落傾向(売り)を示します。
  • 相場が雲に入ると激しい値動きが予測されます(取引はすべきでないタイミング)。

こういった強い相場の方向性を示すシグナルの中で、一目均衡表は内部シグナルも表示できるので、雲によって計算された未来の予測相場の確認が出来ます。これらのシグナルを理解するためには、まずその機能と要素を細かく分けて見ていく必要があります。

一目均衡表の計算に使用されるインジケータには以下の5種類があります。

  • 先行スパンA – 雲の縁にある緑色の線
  • 先行スパンB – 雲の縁にある赤色の線
  • 転換線 – 紺色の線
  • 基準線 – 黄色の線
  • 遅行スパン– 空色の線

取引用語: 雲や線などの用語は英語でも日本語のまま使用され、転換線に関しましてもそのまま使用します。基準線や遅行スパンも同様です。

海外トレーダーの間でも、一目均衡表の用語は日本語のまま使用されることが多いです。 そのため、用語の命名法の理解も重要です。

一目均衡表の雲:支持線や抵抗線

一目均衡表で最も重要な要素は雲の方向性です。 ここでは雲が下降傾向にあり、抵抗線として働きをかけていることがわかります(雲の色もほとんど赤です)。

次の例では、雲が上昇傾向にあり、支持線として働きをかけていることが分かります(雲の色もほとんど緑です)。

一目均衡表の各線一般の解釈方法

一目均衡表の雲は、先行スパンAと先行スパンBの二つで構成され、その二つの方向性が雲の色を決めます(通常下落相場では赤、上昇相場では緑で表示)。

先行スパンAはより速い動きの雲の境界線を示し、基準線と転換線の平均(中央値)により算出されます。

(基準線 + 転換線 ) / 2

先行スパンAは市場相場のモメンタムを計算して、支持線(市場価格を下回る)もしくは抵抗線(市場価格を上回る)のいずれかとなって機能します。 この線が「先行」と呼ばれるのは、その算出方法が予測しやすいからです。先行スパンAは市場相場の26日先の数値を表示させることが可能なので、取引をする際に非常に有益な情報をもたらしてくれます。

先行スパンB雲はより穏やかな雲の境界線を示し、52日間の最安値と52日間の最高値の平均により算出されます。(52日間の最安値+52日間の最高値)/2

トレーダーは52日間の数値から計算される、先行スパンBをより穏やかな動きを示す雲の境界としてみます。一方で覚えておく必要があるのは、先行スパンAはより短い期間の数値から計算されることから、市場相場の変動により早く動きます。

第二の一目均衡表の線:転換線・基準線・遅行スパン

転換線・基準線・遅行スパンから追加(マイナー)シグナルを検出し、それを利用して一目均衡表の雲で明白になった強い相場の方向性を確認(強化)することができます。

転換線は一目均衡表の中でも最も早く動くシグナル線で、9日間の底値と高値の中央値に基づいて計算されます。

(過去9日間の最安値+過去9日間の最高値)/2

転換線は市場動向に素早く反応し、その曲線は短期の強い市場相場の方向性を示すものとして活用されます。 転換線そのもの自体がインジケーターの一つですが、先行スパンAを定義する方程式の一部としての役割もあります。

基準線は26日間の安値と26日間の高値の平均により算出されます。

(過去26日間の最安値 +過去 26日間の最高値) / 2

基準線は市場相場のモメンタムを示すインジケーターで、短期間から中期間における相場の方向性の分析を可能にさせます。 基準線は他の一目均衡表の各線と併用することにより、シグナルを発信することができます。このため通常基準線は転換線(より短期間の9日間)と併用でトレンドの転換点の見極めに使用されます。

転換線が基準線を上に抜けると上昇傾向の初期段階に入ったものと考えます。

転換線が基準線を上に抜けると上昇傾向の初期段階に入ったものと考えます。

転換線が基準線を下に抜けると下落傾向の初期段階に入ったものと考えます。

基準線が単独で活用されることは通常ありません。その代わりに基準線は一目均衡表で使われる他の要素と併用で使用されます。ただし、市場相場が基準線を上に抜ける場合は、短中期的なモメンタムがプラス(上昇傾向)だと考えられます。

逆に、市場相場が基準線を下に抜ける場合は、短中期的なモメンタムがマイナス(下落傾向)と考えられます。

遅行スパンは過去26日間の終値を基に算出されます。 要するに、直近の原資産の終値から、26日前の終値までさかのぼると、現在の遅行スパンの数値がわかるということです。 その設計上、この測定方法により、原資産の過去の市場動向と、現時点の市場相場の動きの関係性を可視化できます。

また、遅行スパンはトレンド転換の可能性をトレーダーに通知します。 遅行スパンが一目均衡表の相場を上に抜けたとき、トレーダーは局面をプラス(上昇傾向)と見て、ロングトレードのための最終確認とします。

遅行スパンが一目均衡表の相場を下に抜けたとき、トレーダーは局面をマイナス(下落傾向)と見て、ショートトレードための最終確認とします。

ご覧のとおり、一目均衡表は未来の市場相場の変動の確率を予測しようとします。これらの戦略は強い相場の方向性は切り離し、どんな局面でも最も最適なタイミングのエントリーとエグジットポイントの見極めに使用できます。一見すると初めての方は一目均衡表が複雑で難しそうに見えるかもしれませんが、一度そのシステムに慣れたトレーダーはチャート分析を素早く行えるようになり、トレードの機会が巡ってくる時にすぐに分かるようになります。

リアルタイムのトレード例: 一目均衡表による戦略

最初の例では、市場相場が低い水準からチャートの右側に動いてることがわかります。ビットコインの値動きが上昇傾向を見せるにつれ、いくつかのインジケーターがロングトレードの機会を通知しているのがわかります。

転換線が1時間足チャートでゴールデンクロスしたことが確認された後、ビットコインの市場相場が雲の上に抜けました。この二つの買いサインを確認した上で、ロングポジションを$8,080で取ります。 ストップロスは最後の押し安値の下に設定($7,810)します。利益確定の設定は、合計損失リスクの3倍のおよそ$8,500です。 市場相場がどちらかの水準に近づいたタイミングで、ポジションを決済して利益確定します。
転換線が1時間足チャートでゴールデンクロスしたことが確認された後、ビットコインの市場相場が雲の上に抜けました。この二つの買いサインを確認した上で、ロングポジションを$8,080で取ります。 ストップロスは最後の押し安値の下に設定($7,810)します。利益確定の設定は、合計損失リスクの3倍のおよそ$8,500です。 市場相場がどちらかの水準に近づいたタイミングで、ポジションを決済して利益確定します。

二番目のリアルタイムのトレード例では、下落相場のシナリオで、売りポジションを立てることができます。 ビットコインが雲の$11,560を下回り、転換線が基準線を一時間足で下回りました。

ストップロスは心理的な抵抗線である$12,000の上の水準で設定します。この抵抗線の水準は前回下落傾向に転換する以前の高値を示します。利益確定ポイントの設定は損失リスクの3倍で計算して設けるので、ショートポジションの目標金額は$10,200ということが分かります。最終的には、相場が雲の中に戻った時点で取引を決算すべきです(転換線がクロスした際に先行する事象)。この水準でポジションを決算することで、中々の利益が得られます。

結論

一目均衡表の各線の多くは移動平均に即して作成されるため、トレーダーがシグナルを誤解してしまっても不思議はありません。 しかし、一目均衡表における各要素はチャートに可視化されただけの移動平均よりも非常に動的なものとなっています。 これは一目均衡表が複数の時間足で市場動向を検知し、将来的に相場が変動することが予測される支持線・抵抗線のゾーンを検知するために設計されているためです。

一目均衡表や付帯する各シグナル線を用いたトレーディングで覚えておくべき点について、以下にまとめます。

まとめ

  • 一目均衡表は長期的な市場動向を検出することが可能なので、トレーダーは雲が示す強い市場相場の方向性とに沿って取引をするべきだといえます。
  • ただし、市場相場が雲に入る(あるいは突き抜ける)時、強い市場動向はトレンド転換点の可能性を示します。
  • 基準線を上回る転換線の変動は、新しい上昇傾向を示すこともよくあります。基準線を下回る転換線の変動は、下落傾向を示します。
  • 強いトレンドの時、一目均衡表の雲は市場相場の支持線・抵抗線のゾーンとして機能することもよくあります。
  • 強いトレンドの時、転換線と基準線も支持線・抵抗線として機能することもあります。
  • 原資産の市場相場が雲に入る際や値動きが横ばいの際は、その後の値動きが荒れる傾向にあり、一目均衡表の有効性が失われます(ポジションを取るべきではない)。

記事監修者プロフィール
渡辺 智


某メガバンクに11年勤めておりプライベートバンカーなどをしていました。現在は保険会社に勤務をしております。投資歴は、投資信託、外貨預金、FX、株式などです。
ライター歴は5年です。分かりやすさをモットーに執筆しております。
【保有資格】
・FP1級
・日商簿記1級
・銀行関連資格(証券外務員内管など)
・証券アナリスト
【経験業務】
・プライベートバンカー
・資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)
・融資関係(アパートローン、中小企業融資)
・カードローン、クレジットカード営業
・新サービス企画(投資信託電話約定サービス)

リチャードは、金融市場で20年以上の経験があり、CNBC、NASDAQ、Economy Watch、Motley Fool、Wired Magazineで記事を執筆しています。